福岡高等裁判所 昭和31年(う)23号 判決
貸金業等の取締に関する法律の目的が貸金等の公正な運営の保障、不正金融の防止、金融の健全なる発達を目的とするものであつて(同法第一条参照)更に同法附則第二項において同法施行の際現に貸金業を行つている者に三月以内に第三条による届書を大蔵大臣に提出すべき旨規定している趣旨よりすれば同法施行前からの貸金につき何等かの形においてその条件を変更した場合においてはこの時において同法の取締の対象となる新らたな金銭貸付があつたものと見做すものと解するを相当とする。(仙台高裁判決高裁判例集第六巻第十一号参照)そうだとすれば仮に所論の通り原判決第三以外の分は総て同法施行前に貸付けたもので、唯、約束通元利の支払がなかつたので未払利子を元金に繰入れ新しい元金とし、又は数口の未払利子を合して元金としその他類似の方法により同法施行後新に貸付けた形式を採つたものであるとしても右条件変更の日新らたな金銭貸付があつたものと見做すべきこと前示理論上当然であり原判決もまた右の見解によつたものと認められる。又被告人は右新貸付と見做さるべき二十回の外になお原判決第三の新規貸付もしているのであつて原判決が業として金銭の貸付をしたものと認定したのは正当である。従つて本論旨もまた理由がない。
(裁判長裁判官 柳田躬則 裁判官 青木亮忠 裁判官 尾崎力男)